バセドウ病の定期検診に行った際、主治医にガン検診を受けてほしいと言われました。
「そんなまさかまだ三十代ですよォ、先生ェ」と、その場はケラケラ笑って、そのうちにと答えたのですが、
いざ診察室を出てみて、血液検査の結果表を、検索を交えて読み解いていくと『ガンの疑いがあるときに増加する数値』がH(ハイ)になっていました。
小心者のわたし、息を吸っても吐いても、肺まで取り込めないレベルのショックに見舞われ、
重量物を持ち上げるように洋式便器を抱えて「オロロロロロロー」しました。
諸事情あり、昨年末からお勤めに出ておらず、外界からの摩擦を受けない環境であることも相まって、自覚していたよりも精神がもろくなってました。
ガンの疑いがあったことと、メンタルが脆弱だったことの両方によって、メッタメタ。
その日のうちに、ガン検診を行っている病院を探したのですが、同郡内の病院、どこも総合的なガン検診をやっていないということがわかりました。
マンモグラフィーとか、子宮頸がんとか、肺がんとか、部分的な検査はやっているんですけど、総合的なガン検診に弱いんですよ。
小心者の自分は、ドブのようなこの身体のどこにガンがあるか探してやるぜっていう強者ガン検診を求めていました。
7月ごろ、隙間時間にアマプラでドクターX見てたのもよくなかった。出てくる患者の半数以上、末期ガンですやん。
もうオラ、医療ドラマは見ないヨ。
ネットの海を渡り、w○○画像診断センターに漂着しました。
個人の申し込みでの検査には、松竹梅三種類のコースがあり、とにかく強者がよいという妄念に取り憑かれていたわたしは、
一番お高い168000円コースを予約しました。
食費にして、約5ヶ月分のお買い物です。
わたしみたいなのが、カルト宗教とかに落ちるんだな、としみじみ思います……。こころの鎖国を守ろうと誓いました。
そんなこんなで画像診断を受けてきました。
168000円の体験記をせっかくなので残します。
検査内容
・検便2種
一般的な検便容器と、ピロリ菌判定用の容器につめつめして提出
ピロリ菌用の棒先端の凹部が結構長くて、ンコさんをほどよく付着させるのがむずかしかったデス。
・PET-CT(約1.8時間)
※5時間前から絶食
※検査着にお着替えする
※問診あるよ
①身長体重測定→放射線を含んだブドウ糖の分量を決めるために身長と体重を測定しました。
②20cc採血。168000円だけあって、検査室のイスがソファァァァ
③採血時の針でそのまんま検査液を注入。入ってきてるぅ!っていう感覚が皆無でした。注入に1分半くらいかかりました。
④採血後の傷に貼るばんそうこうみたいなやつ、でっかくてしっかりしてた。よそで見たことない。
⑤水を経口接種しながら、満喫の個室のいいやつみたいな小部屋で、1時間まったりくつろぐ。
水はなるべくたくさん飲んでといわれます。トイレにいくときはナースコールしなきゃいけない。
⑥呼ばれたら、トイレで排尿してからPET-CTを受ける。
ざっとの流れはこんな感じです。お値段がお値段なだけに、なにをするにもスタッフさん付き添いでして、お気遣いなく……って思っちゃった。
PET-CTは、ご想像のとおり、輪っか装置に寝たまま入っていくタイプでございます。
途中に輪っか装置の切れ間があって、外が見えたの、まじで救いでした。
これまでもCTやMRIは経験しているし、閉所恐怖症というわけではない、と思ってたんですけど、いや恐怖症って、唐突に発症しますね。
アドラー心理学のとおり、『トラウマなど存在しない』です。過去の経験なんて関係なく、怖いもんは怖い。
わたし、生まれつき膀胱が小さいらしく、すーぐ尿が充填されてしまうんです。
PET-CT前、技師さんに案内されてトイレに行ったのに、わずか15分で尿意逼迫警報モードに陥りました。
白亜の筒に納められ、足、拘束されてます。
記憶の中の「何かあったら呼んでくださいね」という技師のことばを思い返し、数を数えました。
1、2、3……10。2、2、3……20。60×20。1200数えたら出してもらえる。
3分で挫折しました。というか、危機迫る状態の心音に合わせたカウントだったので、3分未満です。
「すみまぇぇぇぇんっ!」 叫んだあと、しばし待ちました。
返事はありません。機械音しか聞こえませんでした。
後半戦となり、足首が筒から出ていました。この足なら技師さんにも見えていると考え、指先をむちゃくちゃに動かしました。
そりゃもうムカデに這われているのかというくらい必死にうごうごさせました。
足首から上を動かしたら、撮影を台無しにしてしまうと思ったんです。
しかしそれでも気づいてもらえず、というか、たぶん無視され、ついには頭をもぞつかせました。
脳は、10月にもともと脳ドッグを予約していたので、気持ち余裕ありました。
「すぃまぇええええんッ!」
危険水位に達しましたぁぁぁぁ!!! 168000円をドブに捨てる覚悟でしたが、無回答。
ですが、これがよかったのか、声を出すとガス抜きになりました。膀胱と口はつながってませんけどもね!
瀬戸際(尿道)の攻防で勝利を収めることができました。
千尋バレーへ突き落としてくれた獅子的技師さんのおかげで、人生で一番高額な撮影の前半戦を乗り切ることができました。
ありがとう、技師さん。台から出てきたあと、あなたが大変慌てていたことをアタシ忘れないわ。
(ご迷惑おかけしました)
めでたしめでたし、ではありません。
後半戦に続きます。
・MRI
トータル40分ちょっと。
①腹部撮影 約15分
②頭部撮影 約20分
特別つよつよ検査コースだったので、MRIもセットでございました。
CTに、尿意の逼迫と閉所の恐怖をブーケトスされたわたしは、胸に大輪の不安の花束を抱いて待合で待機しました。
この日の膀胱は全力でバグってたんです。
朝起きてから出発までの4時間で5回、病院についてからMRIが始まるまでに7回(13時)ッスよ。膀胱炎かよ、飲んだ量より明らか多すぎるよ。
いくら規格よりちっちぇえからって、普段はそこまでじゃありませんからね。
MRIまでご案内してくださるお姉さんに「いまさっきトイレに行かれてたんで、もうすぐ行けますね」って言われて、
「いや、トイレ行きます」って行きました。
アテントあてんと状態とはこのことでございます。
まぁーでもね、頸椎椎間板ヘルニア保持者としては、MRIは経験していたし、すぐ終わるっしょって自分勝手に思ってたんですよ。
なめてましたし、なめないと「やっぱキャンセルしたい」って申し出ちゃいそうでした。
40分って聞かされたときは、正直、ムリッて思いましたね。
そんでもって、MRIってCTよりがっちりした拘束具を使用するんですネ……。
台の上に寝た後、腹部ロックされ、ビーナスが乳を隠すような感じに手を胸に置くよう指示があり、その手にやわらかいものが握らされました。
小さなポンプのような握り心地で、潰すとゴムのカエルがビヨーンと手足を伸ばすようなおもちゃのそれに似てました。
「なにかあったら、押してくださいね」とのこと。
CTとは、心強さがちがう!
ヘッドホンを装着され、ずずずーと筒の中へ。なかなか音がうるさかったです。特定の音に反応して、背中の肉が震えました。
常にドラムのドムドムっぽい音が鳴っていて、このリズム、プロメアで聞いたかもしれん、などと思いました。
目を閉じていたので景色はほぼ見ていませんが、CTより狭かったです。
目を開けたら、一瞬で尿意来ると思ったんで、自分と戦ってました。尿意は目から? 意味わからんけど閉所で得た真理。
腹部の固定による下腹部圧迫も、こちらの危機感を刺激してくるし、台がカッチカチなので腰痛が刻一刻と悪化。
10分すぎたころには、ゆーっくりぎっくり腰になってました。スプーン曲げをご想像ください。そんな感じ。
15分過ぎたころ、台が一度筒を出ました。②頭部撮影で固定具を付け替えるためです。
尿意はそれほどでもなかったのですが、この機を逃すと半時間後になるかもしれず、技師さんにお願いして、トイレ退出。
ふつうに2時間くらい溜めていた量を出して、腰をストレッチしてから戻りました。
フゥーです。体脂肪もいっしょに出て行ってくれ。
頭部の撮影は、とっても窮屈でした。
・頭を動かさない。
・音が鳴っている間は唾を飲まない。
・くしゃみ、あくび禁止
・瞬きを控える。(目を閉じている)
・呼吸は浅く。胸を大きく動かさない。
しかし腰痛が生じたことから、膝裏に適したクッションを挟んでくださって、腹部の撮影に比べ、かなり姿勢は楽でした。
救われた~。
撮影後も1回トイレに寄ってから病院を出ました。
なんというか、頻尿の報告みたいになりましたが、人権問題ですのでね。
結果は9月上旬です。どうか健康でありますようにーーーー!!!
ア!余談です。
検査前注意で意外だったのですが、生理中はPET-CTができないそうです。
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